「働き方は理解されなくても、働きぶりは見てもらえると思っています」そう語るのは、株式会社リウボウインダストリー 営業部 婦人服飾・衣料品課 化粧品係 係長の島袋希さん。40名を超えるスタッフが働く化粧品フロアの現場を管理しながら、4人の子どもを育てる母としての日常も送っています。子育てと管理職の両立には、時間の制約や周囲との価値観の違いなど、乗り越えるべき壁も少なくありません。それでも島袋さんは、日々の工夫と行動力で現場の信頼を積み重ね、自分らしい働き方を築いてきました。今回は島袋さんの実体験に加え、株式会社リウボウインダストリー 人事総務部 女性活躍推進室 係長 兼 人事課 採用係 係長の平良沙織さんにもお話をうかがい、働き方を支える制度づくりや現場の声を反映する取り組み、そして今後の展望についても紹介します。40名以上のスタッフと向き合い、現場を支える管理職の日々――現在の業務内容について教えてください。島袋さん:現在は営業部の化粧品係として、売上や予算などの数値管理、売場づくり、イベントの企画、取引先との商談、スタッフのケアまで幅広く担当しています。朝は必ず売場を一周して、スタッフ一人ひとりに声をかけることが私のルーティンです。化粧品フロアには40名以上のスタッフがいるので、毎日いろんな相談を受けているんです。なかには遠慮して自分から話しかけづらいスタッフもいるので、私の方から歩み寄る姿勢を大切にしています。売場の雰囲気は売上にも関わるので、スタッフが気持ちよく働ける環境づくりは特に意識していますね。仕事の姿勢で「信頼」を築き、「理解されない」壁を超える――働く中で、特に大変だった時期はありますか?島袋さん:一番苦労したのは、育休明けや時短勤務中の働き方に対する周囲の理解を得ることでしたね。どうしても「早番のみ」や「日曜定休」といったシフトの制約が出てきてしまいます。現場は全員で協力してシフトを回していますから、特定のスタッフだけ条件が違うとなれば、戸惑いや不満が生まれるのも無理はありません。当時は理解されない辛さを感じることもありましたが、「もし自分が逆の立場ならどう思うだろう」と、常に相手の視点に立つように意識しましたね。――辛かった状況は、どのように乗り越えてきたのでしょうか?島袋さん:「働き方は理解されなくても、働きぶりは見てもらえる」そう信じて、出勤している時間はとにかく人一倍動くことを心がけましたね。誰もが敬遠するような業務も率先して引き受け、「島袋さんがいると助かる」と思ってもらえる存在を目指したんです。信頼を一つひとつ積み重ねていくうちに、周囲の空気感も自然と柔らかく変化していったと感じています。――努力が実を結び、周囲との信頼関係が築かれた「今」、仕事への向き合い方や喜びにも変化はありましたか?島袋さん:かつては個人の働き方で悩むこともありましたが、今は管理職という立場になり、チーム全体に目が向くようになりました。もちろん、売上という数字を作ることは大切ですが、「チームの空気」が整うと、成果の出方はまったく違ってくるんです。スタッフ間のコミュニケーションが円滑になり、全員が同じ方向を向けたときに「この場所で頑張ってきてよかったな」と強く感じます。場を支える一員として、自分がここにいる意味を実感できる瞬間でもありますね。制約を「強み」に変える、仕事と家庭を両立する「マイルール」――限られた業務時間の中で、特に工夫されていることはありますか?島袋さん:子どもの急な体調不良などで現場を離れざるを得ない場合もあるので、まずは「最優先タスクの前倒し」を常に意識していますね。不在時も現場が回るよう、情報はこまめに共有するようにしています。私にしかわからない仕事を作らないことが、結果的に自分自身を守ることにもつながるんです。――業務を属人化しないという考えに至るまでには、きっかけがあったのでしょうか。島袋さん:以前、時短勤務について厳しいご意見をいただき、悔しい思いをしたのがきっかけです。そのときに「自分が抜けても現場が回る状態をつくれていれば、きちんと働きぶりは伝わるはずだ」と思ったんです。それが、仕事の進め方を見直す大きなきっかけになりました。また、「できないことをプライベートのせいにしない」ということも私の大切にしているルールです。期日がある仕事に家庭の事情は言い訳になりませんので、前倒しで作業を進めることを徹底しています。自分の力量を把握して、難しいときは「ここまでなら可能です」と、早い段階で相談することも心がけていますね。――業務時間に制約がある中で、仕事の進め方を工夫されてきたのですね。島袋さん:残業ができない環境だからこそ「時間内で終わらせるためにどう工夫するか」を真剣に考えるようになりました。おかげで以前より仕事のスピードも上がり、日々スキルアップしていることを感じます。逆算して進める習慣が身についたのは、むしろこの環境のおかげだと思っています。――一方で、両立の難しさから退職の道を選んでしまう方もいらっしゃるとうかがいました。島袋さん:仕事と育児のバランスが取れず、続けたい気持ちはあっても辞めてしまうスタッフは一定数います。退職者が出るたびに、悔しい気持ちが込み上げてきます。働き方を少し変えるだけで続けられる場合もありますし「もっと会社に相談してもいいんだよ」と伝えていきたいです。現場の声を上げれば、会社もきちんと受け止めて制度をアップデートしてくれます。同じように悩む人がいたら、諦める前に選択肢を伝えたり、一緒に考えたりできる「相談相手」でありたいと思っています。「現場の声」をカタチに、社員が長く活躍できる環境づくりを目指す――働き方を支える制度について、最近の取り組みを教えてください。平良さん:まず育児休業についてですが、これまでは「子どもが2歳になるまで」としていた取得期間を「3歳になるまで」に延長しました。現場から「仕事と育児を無理なく両立させるためには、もう少し時間が必要」という切実な声が上がっており、それに寄り添う形で見直しを行ったんです。また、シフト勤務特有の「まとまった休みの取りづらさ」を解消するために、年2回は必ず4連休を取得する「定休制度」も導入しています。どうしても飛び石連休になりがちな業種なので、この制度でしっかり休んでもらっています。実際に、有給休暇と組み合わせて旅行へ出かけるなど、心身のリフレッシュにつながっているようです。――現場の声をしっかりと制度に反映されているのですね。平良さん:制度という「枠組み」を整えるだけでなく、「どんな働き方をしたいか」という社員一人ひとりの「想い」を聞くことも大切にしています。人事異動や復職のタイミングでは必ず面談を行い、家庭の状況や希望する働き方を丁寧にお聞きするようにしています。そのうえで、可能な限り条件に合ったポジションや勤務体系を提案し、誰もが長く活躍できる環境を整えていきたいですね。自分らしく輝ける「モデルケース」を目指して――これから島袋さんは、どのような働き方をしていきたいと考えていますか?島袋さん:肩書きへのこだわりはありませんが、「あなたにお願いしたい」と求められる場所で輝き続けたいですね。また、仕事と育児の両立に悩んで辞めてしまう後輩を見てきた経験から、4人の子どもがいる私が「無理なく続けられる働き方」のモデルになれればと思っています。工夫次第で働き続けられますし、「もっと会社を頼っていいんだよ」と伝えていきたいです。――会社としても、女性のキャリア支援に力を入れているとうかがいました。平良さん:女性の役員や管理職を増やすことが、会社全体で取り組んでいるテーマです。現在、管理職として活躍している女性は多くありませんが、今後は女性の考え方や視点を経営層に反映させていくことを目標にしています。制度改革はもちろん、個々の生活環境に合わせた働き方が選べるよう、人事として全力でバックアップしていきたいと考えています。――現場と会社が一体となって、環境づくりを進めていることが伝わります。島袋さん:私は人事にも現場の声を率直に伝えていますが、それを会社が受け止め、一緒に環境を変えていけるのは本当に心強いですね。これからも家庭を大切にしながら、仕事にも全力で向き合う姿を通して、誰かの背中をそっと押せるような存在でありたいと思っています。――本日は貴重なお話をありがとうございました。