「仕事と育児を両立しようと思うと1時間が本当に大切」と話すのは、沖縄のテレビ局、琉球放送株式会社(以下:RBC)の宮城恵介さん。双子の父として3か月間の育児休業(以下:育休)を取得した経緯や、RBCで今後取り組みたいことを語ってくれました。育休取得に対する周りの理解、双子育児のリアルな経験談などもお聞きしていますので、ぜひ最後までご覧ください。営業と制作をつなぐ調整役、番組とイベントの裏側を支える仕事――現在の担当業務について教えてください。宮城さん:営業推進部で番組制作の裏方業務やイベント管理の仕事を担当しています。番組の特集で何を企画するか、営業側と制作側の意見をどうまとめるかといった調整役の仕事が多いです。イベント管理では地域の祭りやサマーフェスなど、ステージまわりの運搬設置、うちわ配りといった作業も営業推進部が担当しています。打ち合わせの様子――1日の仕事の流れはどのようなイメージでしょうか?宮城さん:営業や制作担当と1日に2〜3回打ち合わせがあり、その合間にメールや企画書を作っています。イベントの日には、出先で設備や運営のサポートをしています。 泣きやまない双子の育児に奮闘、育休取得の背景――双子のお子さんがいらっしゃるそうですね。育休はどのくらい取得されましたか?宮城さん:2022年の2月から約3か月間取得しました。当時、男性の育休取得は1カ月程度の方が多かったので、社内では私が最長の育休取得だったと聞いています。実は女性の先輩ディレクターから「最低半年は休んだ方がいい」とアドバイスをもらっていました。結果的に3カ月休みましたが、今思えば半年から1年ほど育休を取得してもよかったかもしれません。宮城さん:最近では、会社全体での男性の育休取得が進んでいて、2024年度は男性の育休取得率が100%でした。長期での取得など課題はありますが、制度を利用しやすい雰囲気が着実に広がっていると感じています。――育休に入る前の仕事の引き継ぎはどうされましたか?宮城さん:出産予定日の半年前には育休を取ることを周りに伝えていました。当時は制作部で番組ディレクターを担当していたので、私が3カ月休む間は外部のディレクターに現場を任せることになっていたんです。出産が予定より1週間ほど早まり、番組の編集など中途半端な状態だったのですが、部長や周りのスタッフの協力もあり無事育休を取得できました。――育休中や育休明けの生活はどんな様子でしたか?宮城さん:双子のひとりが管理入院していたため、最初の2週間は病院へ母乳を毎日運んでいました。退院後は夫婦で協力してミルクをあげたり、オムツを変えたり、沐浴を繰り返す日々。双子なので「何時頃、誰にミルクをあげたのか」覚えられないくらい忙しかったです。宮城さん:ホワイトボードに名前、時間、ミルクの量を記録して妻に引き継ぎ、交代で眠っていました。夜泣きが激しい時期には、深夜の2時頃にドライブに連れて行き、寝かしつけを工夫していましたね。宮城さん:また、私1人で娘たちをショッピングモールに連れて行ったことがあるんです。1人が泣き出したのであやしていると、もう1人も泣き出して…ベビーカーに乗せられず、車にも戻れず途方に暮れていました。そのとき、二組の夫婦が「手伝いましょうか?」と声をかけてくれて、エレベーターまで荷物を持ってくれたんです。1人で動けない状況だったので、本当に助かりました。――周りの方のあたたかい声かけがうれしいですね。「1時間が貴重」逆算思考でスケジュール管理――仕事と育児を両立するうえで、工夫していることはありますか?宮城さん:後ろの時間を意識してスケジュールを立てています。保育園のお迎えといった時間は動かせないので、そこから逆算してタスクをこなしたり、打ち合わせの合間にメールを送ったりと工夫しています。――具体的にどのようにスケジュールを管理しているのでしょうか。宮城さん:GoogleカレンダーやLINEのリマインくんを活用しています。何時に何の作業をするか、細かく設定してスケジュール管理していますね。仕事を効率化できれば、その分育児に時間を充てられる。子育て中のパパやママは皆さん同じ気持ちだと思いますが、育児と仕事の両立に奮闘するなかで、1時間の価値は本当に大きいです。――忙しい毎日の中で、地域や周りのサポートを活用することもありますか?宮城さん:実家の両親に子どもを見てもらうこともあります。子どもが0歳のときは、浦添市にある産後ケア施設「zeroplace」を利用していました。短時間でも預けられる環境があるのはありがたいです。育児で広がった報道の目線、子育て経験が伝える原動力に――育児の経験が仕事に活きたことはありますか?宮城さん:あります。2025年の4月まで報道部で記者を担当していたのですが、子育て世代としての視点が報道特集で役立ちました。ある地域で公園の遊具が使えないという情報を聞き、市役所に「なぜ使えないのか」問い合わせ、特集として報道したんです。宮城さん:自分自身が子育てしているからこそ「近所の公園に連れて行けば子どもが機嫌よく遊んでくれる」その公園の遊具が使えなくなることが、どれだけしんどい状況なのか想像できました。育児の経験が仕事にリンクして、取材にも熱が入りましたね。テレビで放送された際は反響も大きかったです。――自ら取材した報道に反響があったことはうれしいですね。宮城さん:そうですね。おそらく子どもが生まれていなかったら、公園を利用できないことについて関心を持てていなかったと思います。育児を経験して興味・関心が広がり、子育てに関する情報や困りごとが耳に入ってくる。だからこそ、きちんと取材して報道しようと思えたので、育児が仕事にもプラスの影響を与えてくれています。社会全体で子育てを支える、RBCから発信したい――今後、RBCの社員として取り組みたいことはありますか?宮城さん:RBCの放送やイベントを通して「社会全体で子どもを育てていく」というメッセージを発信していきたいです。RBCに入社してから、さまざまな部署で仕事を経験してきました。ラジオディレクターや東京支社での営業、バラエティ番組や報道番組の制作、現在の営業推進部などを経て、メディアとしての影響力をどう活かすかを日頃から考えています。宮城さん:育児・介護休業法など、法律や社会の雰囲気が変わっているとはいえ、子育て環境ではまだまだ女性の負担が大きいと思っています。男性個人の努力も必要ですが、育児をしているなかで強く感じるのは「子育ては家族だけの問題ではなく、社会で支えるものだ」ということ。イベントや番組制作を通して「社会全体で子育て環境を良くしていこう」と伝えていきたいです。――活動を応援しています。本日は貴重なお話をありがとうございました。※タイトルの「男性の育休取得率100%」は2024年度のデータ