お客様の暮らしから最適なプランをご提案、契約の場となる「地域の保険代理店」。その代理店で近くに寄り添い、ともに走り続ける女性がいます。大同火災海上保険株式会社の南部支社にて、今年4月より統括主任を務める八幡沙紀(はちまんさき)さんです。かつては男性の姿が多く見られた営業の世界。会社の人事異動をきっかけに、外回りを行う「営業担当」へと進んだ八幡さん。現在は会社と代理店を繋ぐ架け橋として、県内各地の店舗できめ細やかなサポート業務を行っています。そんな彼女のもう1つの顔は、3人の子どもたちを育てるお母さんです。常に第一線で成果を出し続ける女性リーダーの八幡さんですが、「もう、毎日が試行錯誤の連続ですよ!」と、明るい笑顔で等身大の話をしてくださいました。子どもたちのお迎えの時間があるため、残業はできない。そのなかで、どのようにして責任あるポジションをまっとうし、仕事と家庭を両立されているのでしょうか。統括主任としてのキャリアを築きながら、家庭と育児、自分を大切にした働き方を伺いました。限られた時間で「取捨選択」する統括主任の働き方統括主任として八幡さんが担当しているのが、「間接営業」というスタイルの営業です。南部支社の営業担当の役割は、会社の商品を扱う「代理店」へ足を運び、商品の仕組みやお客様への提案のしかたをレクチャーし、ときには商談に同行しながら、日々の営業活動を支えることです。南部エリアを中心に、マネジメントを任されている代理店の数は1人当たり約10店舗。サポートする代理店の年齢層は20代から80代の大先輩まで、年齢もキャリアも実に幅広いそうです。八幡さん:急に私が南部支社から来て「目標までのギャップがこれだけあります」「今後どうしていきますか」と切り込んでも、代理店の方からはすぐには受け入れがたいですし、相手の心に響きにくいですよね。そこで最初の2ヶ月くらいは契約などの話を控えます。そう語る八幡さんが何よりも徹底しているのが、丁寧な「関係性強化」です。4月・5月は、代理店の担当の方の人柄や好きな話題をリサーチし、話しやすい関係の土台をつくることに徹します。目の前の相手と丁寧に向き合う時間の積み重ねを何より大切にしています。営業現場での確かな手腕と信頼が重なり、今年から「統括主任」というリーダーのポジションに就きました。現在は自身の営業活動に加え、南部支社の営業メンバーを引っ張るリーダーとしての後輩指導や、生命保険(生保)部門の施策推進の責任者という重責も担っています。チームを率いる立場になったことで、八幡さん自身の「仕事への意識」にも大きな変化が生まれたといいます。八幡さん:以前は、周りの期待に応えたい、どの案件にも、どの悩みにも「全部全力」でした。けれど、限られた時間の中で全部やろうとすると、結局どれも中途半端に。周りに余計な迷惑をかけてしまうと気づきました。そこで八幡さんがたどり着いたのが、良い意味での「割り切り」です。八幡さん:難しい案件は一度冷静になる、ここからは追わない、と優先順位をつけます。取捨選択を意識するようになり、ようやく今の役割で成果を出せるようになりました。自分のできる範囲を見極めて仕事を進める。責任ある立場でチームを引っ張る、八幡さんのリーダーとしての土台となっています。「長く働く」を見据えた企業選びから、入社後の変化を恐れない営業への一歩八幡さんのキャリアの始まりは、将来を見据えた企業選びにありました。就職活動をしていた大学生の頃、参加した合同説明会で出会ったのが、当時大同火災の人事課でご活躍されていた方でした。八幡さん:話が面白くて、堅苦しい金融のイメージがガラリと変わったんです。説明会をきっかけに金融や保険関係の仕事に魅力を感じ、結婚や出産を経ても、ずっと長く働き続けられる会社を探していた八幡さん。「土日休み」という仕事と家庭を両立しやすい環境が整った同社に理想を見出し志望されました。入社後に配属されたのは窓口業務。当時は一般職(営業事務)として、営業担当のサポートや代理店の方が担当された契約の事務処理、来店されたお客様の対応、電話応対などを担当していました。転機が訪れたのは2020年。社内の人事制度が新しくなり、それまで男性社員が中心だった「営業担当」へ、女性も挑戦できる道が開かれます。八幡さん:当時は会社の制度改定による役割変更だったのですが、「営業担当っておもしろそう、やってみたい!」という気持ちで飛び込みました。今回の取材に同席された、経営企画部 人事課 副長 知花えり奈さんも、八幡さんについて教えてくださいました。知花さん:とても明るく、積極的に声をかけられる方です。そして何より、営業面でも粘り強さがあります。八幡さんの前向きな姿勢は、仕事の現場だけでなく、その後に迎えるライフステージの変化をも、パワフルに乗り越えていく原動力となっています。1人目のお子さんの出産を経て、双子の妊娠・出産を経験した八幡さん。切迫早産による長期休職も重なり「自分は仕事に戻れるのだろうか……」と、育休復帰へ不安があったと言います。いざ復帰してみると、職場には自分の居場所があり、体制を整えて温かく迎えてくれる環境、雰囲気がありました。八幡さん:休ませてもらった以上に、しっかりと働いて会社に応えたいと思いました。会社への深い感謝を胸に、復帰前の不安を「恩返し」という前向きなエネルギーへと切り替えた八幡さん。育休後も変わらぬ明るさと粘り強さで実績を積み重ねていきます。仕事と家庭の両立は、手厚い時短制度と家事の「完全分業」で叶える小学生と、未就学児の双子の子どもたちを育てながら、責任ある役職をまっとうする、そんな毎日をどのようにして続けているのか、八幡さんの仕事と家庭の両立について迫ります。八幡さん:子どものお迎えの時間が決まっているため、仕事が残っていても残業はできません。けれど、限られた時間だからこそ集中してやり切る工夫をしています。とはいえ、子育て中の毎日は大変なことの連続。保育園のお迎えまでは、一分一秒を争う時間との戦いです。家庭での生活を支える大きな基盤となっているのが、会社の「育児時短勤務制度」です。 同社では子どもが3歳になるまで、お給料が変わらず支給される時短勤務を選択できます。八幡さん:本当にこの制度には助けられました。1歳や2歳までではなく、しっかり3歳になるまでお給料面も含め支援してもらえたのは、働き続けるうえでとても大きな支えでした。そして職場の時短勤務への理解も、利用しやすい点として挙げられます。基本の就業時間は9時から17時ですが、八幡さんの場合は時短勤務の16時退社です。八幡さん:子どものお迎えの時間が迫ると、周りのメンバーから「もう時間だよ」と声をかけられ、残った仕事を快く引き受けてくれる雰囲気があります。手厚い制度だけでなく、一緒に働くメンバーの優しさに本当に助けられています。職場の温かいサポートを受けながら、家庭内では徹底した「完全分業制」を取り入れている八幡さん。 朝の子どもの送迎、料理、お風呂、歯磨きなど、子どもに直接関わることを担当する一方で、食器洗い、保育園の準備、洗濯物を畳むといった家事は旦那様にお任せしています。お互いがストレスなく動ける家事を話し合って決められたそうです。そしてもう一つ大切にしていることが、「自分の心と体を安定させるための時間作り」です。子育てをするなかで1人の時間を作るのは難しいと感じ、1年ほど前から朝の出勤前の時間を見直しました。週に2〜3回のウォーキングや、エクササイズ動画を見ながら30分ほど体を動かすなど、朝の習慣が日々の生活に心地よいリズムを生み出しています。 八幡さん:朝から準備に追われるより、あえて自分の時間を作ってからスタートした方が、メンタルが安定した状態で出勤できます。ときには同僚との食事会を開き、近況を語り合い、心の距離を縮める時間も確保しています。そして週末は子どもたちと大好きなスポーツ観戦へ。 会社の手厚い制度を利用し、周囲の人とのつながりを大事にしながら、自分の機嫌は自分で取る。この暮らしが、八幡さんの前向きに行動する力になっています。「楽しく働く」を次世代へ。後輩たちがキャリアを築ける道をつくるキャリアの一歩を踏み出した八幡さんに、今後の展望や目標について伺いました。八幡さん:統括主任としての新たな役割を担うようになり、家庭と両立しながら後輩の指導や生保部門のチームをまとめることが今の目標です。勤務時間が決まっているなかで成果をあげるため、更に仕事の効率性を追求したいと思っています。そのために、ITリテラシーも含め知識をつけていきます。そしてもう一つ、彼女がリーダーとして心に抱いているのが、次世代を担う後輩たちへの想いです。八幡さんは、世の中の女性の就職、働き続ける上での課題について強い問題意識を抱いています。八幡さん:私の周りには、本当に力のある、素晴らしい後輩がたくさんいます。だからこそ、「子どもが生まれて両立が難しくなったから会社を辞める」という選択だけでなく、会社勤めを続けながらでも、工夫次第、そして周りのサポートを受けて「キャリアを諦めずに、自分らしく楽しく働ける」という背中を見せていきたいです。自身が10年以上勤めてきた会社が、手厚いサポートや温かい風土で働く場所を守ってくれたように。今度は後輩たちが諦めずにキャリアを築いていける道をつくっていきたいと、自らの役割を見据えています。全部全力じゃなくていい。「まずはやってみる」から出会える私らしい働き方最後に、仕事や育児の両立に迷い、悩みを抱えている読者の方へ、八幡さんから温かいエールをいただきました。八幡さん:子育てしながらの仕事や家事は本当に大変です。両立どころか「三足のわらじ」ですから。全部を全力でやろうとしなくていいと思います。それぞれ7割、8割の力でいい。どうにもならない時間は、人の手を借りつつ、「とりあえずやってみよう。ダメだったらまた考えよう!」と手探りで進んできた結果が、今の私になっています。「とりあえずやってみる」という気持ちから継続している八幡さんの習慣が、毎年走り続けているNAHAマラソンです。入社してから妊娠、出産時期を除き、これまで12回完走されています。八幡さん:大会時期の数か月間、朝5時に起きて練習します。何度も出場してきたからこそ、引けないなと思って続けています。完璧を目指さず、「やってみよう」の気持ちから一歩を踏み出し、挑戦を続けている八幡さん。担当する代理店の方から言われてとても嬉しかったという、忘れられない言葉があります。他社との激しい競合のなか、契約が危ぶまれたときのことです。代理店の担当者と何度もお客さまのもとへ足を運び提案を重ね、窮地の場面を乗り越えました。代理店の方よりかけられた「担当が八幡さんでよかった。だから、この契約を守れた」という言葉。まさに営業冥利に尽きる瞬間でした。八幡さん:今のライフスタイルが正解かどうかは、私にもまだわかりません。でも、とにかく楽しんで仕事をしています。ちょっと肩の力を抜いて、周りを頼りながら「まずはやってみる」。その小さな一歩の先には、新しい働き方との出会いが待っています。