「沖縄は成長機会が少ない」そんなイメージを持ったことはないでしょうか。株式会社ホット沖縄総合研究所(以下、ホット総研)取締役の白石亮博さんは、慶應義塾大学を卒業後にコンサルティング会社で経験を積み、「沖縄には、考える力を鍛える機会や環境がまだ十分に根付いていない」という問題意識を胸に沖縄へ戻りました。観光庁や沖縄県庁など国・県の観光政策を作ることを主軸に、カヌチャリゾートのまちづくり事業まで手がけるホット総研を立ち上げ、事業を統括しています。同社のコンサルティング事業部主任を務める翁長愛音さんは、第40代沖縄観光親善大使ミス沖縄、平和学習講師、フリーランス4年という異色の経歴を持ちながら、入社2年未満で主任に抜擢されました。今回は白石さんと翁長さんのおふたりに、採用への想いや未経験から主任へキャリアアップした舞台裏、そして沖縄の未来への展望をお聞きしました。ぜひ最後までご覧ください。考える力で沖縄を変える。ホット総研が生まれた理由―― ホット総研を立ち上げた経緯と、事業内容について教えてください。白石さん:ホット総研を立ち上げたのは、今から約8年前のことです。慶應義塾大学を卒業後にコンサルティング会社へ入り、沖縄に戻るタイミングでグループ会社の社名変更という機会があり、新たな会社として立ち上げました。立ち上げの根底にあったのは、「沖縄には、考える力を鍛える機会や環境がまだ十分に根付いていない」という問題意識です。構造的に考える、論点を持って議論する、前提をゼロベースで疑う力を持つ人が、沖縄にはまだ少ないと感じていました。コンサル会社での経験や、学生時代に東京のベンチャーの方々と関わるなかで、東京と沖縄のギャップをより強く意識するようになりました。事業は大きく3つあり、ひとつは行政案件を受託するコンサルティング事業です。沖縄県庁や観光庁など国・県の観光政策を一緒に作る仕事をしています。ふたつ目はカヌチャリゾートと連携した「まちづくり事業」です。広大なリゾートエリアを「ひとつの街」として捉え、私たちが市役所のような役割を担っています。3つ目はモビリティ事業として、リゾート内の移動インフラを支えています。―― 翁長さんは現在、どのような業務を担当されていますか。翁長さん:コンサルティング事業部に所属しており、観光を軸にしたコンサルが現在の仕事内容です。毎年プロジェクトの内容は異なっており、農林水産省関連や中小企業支援、観光振興の政策立案など、対応する領域は多岐にわたります。担当する案件はAIを活用しながら県庁や国交局のホームページを毎日確認し、自分が力を活かせそうなものに手を挙げていく形で進めています。昨年は自分がメインで担当したプロジェクトが3つ、サブとして関わったものを含めると5つありました。フリーランスからのキャリアチェンジ。活躍の場をホット総研に移した理由―― ホット総研の入社に至った最初のきっかけを教えてください。翁長さん:もともと英語を活かして沖縄の魅力を世界に発信する仕事がしたいと考えており、大学時代から旅行会社や観光局でのインターンを経験していました。大学卒業後は留学を予定していたのですが、コロナ禍で計画は白紙になり、観光業界の新卒採用もほぼなくなってしまったんです。そこで、同世代の女性が立ち上げたSNSコンサルの会社でフリーランスとして働きながら、観光大使や平和学習講師としての活動をしていました。4年ほど経ったころ、徐々に結婚を意識し始めたのが大きな転換期だと思います。フリーランスは休日の概念がなく、際限なく働き続けられてしまうため、「このままでいいのか」という思いが芽生えてきた時期に、白石さんへ相談したのがきっかけでした。―― 最終的にホット総研への入社を決めた理由を教えてください。翁長さん:沖縄のためになる仕事ができること、政策を動かす上のレイヤーに関われること、自分のペースで働ける環境があるといった条件が自然と揃っているのがホット総研だったからです。業務委託として2ヶ月ほど一緒に仕事をするうちに会社のことがよくわかり、断る理由が見当たらず正社員として入社しました。―― 翁長さんを採用した決め手はどのようなところでしたか?白石さん:政策を動かす上のレイヤーに関わりたいという志向性が、ホット総研のやりたいことと一致していたことが大きな決め手でした。加えて、物事をしっかりと考えられる人だと感じましたし、沖縄への想いも強く持っていたため、カルチャーマッチという観点で採用の判断に迷いはありませんでした。観光大使としての経験も、採用の後押しになりましたね。観光大使は任期の1年間で、沖縄について深く学び、知事や各界の方々と対話できるレベルの知識を身につけることになります。しかし、任期が終わるとせっかく得た知識を活かせなくなってしまう方も多いのが実情です。ぜひ観光大使の経験と知識をホット総研で発揮してほしいと感じていました。入社2年未満で主任へ。フリーランスの経験が切り開いたキャリア―― 入社から主任を任されるまでの間、ご自身で意識していたことはありましたか?翁長さん:入社してから特別なことをしたというよりは、フリーランスの4年間で身についた働き方がそのまま土台になっているという感覚に近いかもしれません。仕事を取りにいくことも、プロジェクトを進めることも、トラブルに対処することも、すべて自分の判断でこなしていくフリーランスという環境が、自然と主体性を育ててくれていたのだと思います。―― 白石さんから見て、翁長さんの抜擢の決め手はどこにありましたか。白石さん:主体性とオーナーシップの高さが決め手でした。事業の委託元は県や国ですので、求められているものを起点に自分で考えて動くことが重要です。翁長は、委託元が何を求めているかを起点に自分で考えて動くことを、入社直後から自然にこなしていました。フリーランス時代に培われた力があったからこそだと感じています。私は、思考力というのは筋肉と似ていて、深く考えてきた時間の総量によって決まるものだと思っています。年齢よりもこれまでどれだけ考え抜いてきたかが重要で、翁長の場合、周囲と比べても考えてきた量が明らかに豊富だと感じていました。人との関わりが仕事の醍醐味。ホット総研で感じる成長とやりがい―― 入社してよかったと感じたことと、壁に感じたことをそれぞれ教えてください。翁長さん:入社してまず実感したのは、経験豊富な先輩たちと一緒に働ける環境の充実さです。ホット総研には大手旅行会社出身者など、多彩なバックグラウンドを持つメンバーが集まっており、日々の会話や仕事をとおして新しい考え方や知見を吸収できることが、自身の成長につながっていると思います。また、入社して最初に携わったプロジェクトは、カヌチャリゾート周辺地域の方々の暮らしを体験するツアーを作る「郷時間」というものでした。地域の方々と直接関わりながら、地域ならではの知見をいただく時間がとても充実していました。プロジェクトをとおして出会う方々との関わりが、仕事の醍醐味のひとつだと感じています。一方で壁を感じたのは、プロジェクトごとに担当する領域が変わるため、新しい分野を1から学ぶ必要があるということです。ただ、専門的な知識をゼロから短期間で習得していくことは、ホット総研で働くうえで求められるスキルでもあり、取り組むなかで着実に力がついていくことを実感しています。―― 困ったことをすぐに周囲へ共有することを意識されているそうですが、その背景を教えてください。翁長さん:1人で責任を負うことに強い不安があるため、何か気になることがあれば早めに共有するよう心がけています。進行中の業務は社内のチャットツールに随時共有しておき、困りごとは小さな段階であげるようにしています。また、共有を自然と行える会社の環境も大きいです。ホット総研では固定席のないコワーキングスペースで働いており、役職や年齢に関係なくフラットに話せる雰囲気があります。周囲の先輩たちにも「わからない」と言いやすく、対等に意見を交わせる環境があるからこそ、こうした発信ができているのだと思います。沖縄でも、成長できる環境がある。ホット総研が目指す未来―― 翁長さんは今後、どのような人材を目指していますか?翁長さん:実績を持つ人材になることが、今1番描いているイメージです。沖縄についての知識は積み重ねてきた自負がありますが、知識をアクションに落とし込み、結果を出していく経験はまだまだ足りていません。多くのプロジェクトを積み重ねていき、良い結果も悪い結果も含めて、新しく入ってくる後輩たちに自分の経験として語れるものを渡せる人になりたいと考えています。―― ホット総研では、どのような方と一緒に働きたいとお考えですか?白石さん:一緒に働く仲間に求めるのは、カルチャーマッチです。職位や役職に関係なく、正しいことを正しいと言える組織であり続けるために、ゼロベースで物事を考えられる人を求めています。コンサル経験がなくても、観光業界出身でなくても、沖縄に対して強い想いを持ち、主体的に動ける人であれば、一人前に育てる自信があります。―― 最後に、ホット総研として今後目指す姿をお聞かせください。白石さん:沖縄で1番インパクトを残せるシンクタンクになることが目標です。沖縄の政策に関わる課題があれば「まずホット総研に相談しよう」と思っていただけるような、唯一無二の存在を目指しています。観光政策に特化してこれほど深く向き合えるシンクタンクは沖縄にほとんどなく、だからこそ大きな可能性を感じています。県外に進学した方々から「沖縄に帰りたかったけど、新卒で選べる会社がなかった」という声を聞くたびに、ホット総研がその選択肢のひとつになりたいという気持ちが強くなるんです。「沖縄は成長機会が少ない、仕事がない」と感じている方もいると思いますが、そんなことはないということを、私たち自身が証明していきたいと考えています。――本日は貴重なお話をありがとうございました。