仕事と家庭の両立に悩んでいる女性の方は少ないのではないでしょうか。出産後、仕事と家庭のバランスに悩むのは、あなただけではありません。仕事に少しずつ手応えを感じられるようになる一方で、家事や育児が追いつかず、気づけば夫婦の会話が減っていた――。「ちゃんとやれていないのは自分なのかもしれない」そう感じてしまう女性は、決して少なくありません。本記事では、出産後の働き方と夫婦の関係性をめぐる二人の女性のリアルな対談を通して、すれ違いが生まれる背景を丁寧にひも解いていきます。さらに、夫婦問題を扱う弁護士の視点から、“感情だけでは見えにくい構造”についてのコメントも交えながら、「自分を責めすぎないための考え方」を探ります。出産後、仕事を再開したAさんの悩み― 頑張るほど、夫婦関係がうまくいかなくなるAさん「出産後しばらくブランクがあって、ようやく仕事の感覚を取り戻してきたんです。でも、仕事をすればするほど家のことがおろそかになって、夫との関係に歪みが出てきてしまって……。Cさんはうまくやっているように見えるので、どうしているのか聞いてみたくて。」仕事復帰は、喜ばしい一歩のはず。それでも現実には、仕事と家庭の両立に悩み、自分を責めてしまう女性は少なくありません。Cさんのケース―「感謝の言葉」と「尊重」が夫婦円満の鍵Cさん「私は出産後に仕事を辞めて、在宅ワークに切り替えました。夫の収入で生活できているので、“今の働き方を構築させてもらっている”という意識が強いんです。だから家事は私が全般的にやっていて、不満はありません。」→法律相談を通じて、仕事と家庭を両立させるには、世帯収入にある程度の余裕があることが必要だと感じています。これは。収入が高いことが必須という意味ではありません。仕事や家庭に不満を持ち、その結果、協議離婚や調停離婚に至る夫婦の共通点として、経済的に余裕がないことが挙げられます。Cさんは、家事を自分が担うことに不満はないと言います。仕事で忙しいときは夫に子どもの世話を「お願いする」スタイル。「夫も残業が多い中で、“ワンオペさせてごめんね”という気持ちを持ってくれているのが伝わるので、お互いに“ありがとう”や“ごめんね”を自然に言い合える関係です」とCさん。「お互いに感謝を伝えることで、自然にバランスを取っている感じですね」と話します。喧嘩はほとんどなく、「お互いの人生を尊重していることが大きいですね。」→この点については、離婚相談に来る方々のお話を聞く限り、仕事や育児に追われるといった事実そのものを変えるのは簡単ではないように思われます。それよりも、仕事や育児が忙しいからこそ、夫婦間の日常的なコミュニケーションを意識的に増やすことや小さな気遣いの有無が仕事や育児、夫婦関係の両立に直結するのではないでしょうか。「させてもらっている」と「尊重されている」とその微妙な関係性― Aさんが感じた引っかかりAさん「“させてもらっている”って聞くと、自分が下の立場になる気がしてしまって……。」Cさん「私はそう感じないですね。夫は“君の人生なんだから、自由にやったらいい”って言ってくれます。私は在宅で働くスタイルを選ばせてもらっていることに感謝しているし、お互いに『あなたの人生を応援する』ってスタンスなんです。」→理想的な関係だと思います。仕事や育児、夫婦関係の両立には、夫婦の間での活発な意見交換、それに基づく相互のリスペクトが非常に重要となるでしょう。日々の感謝を配慮を大切にすることでよりよいライフスタイルの実現につながるはずです。同じ言葉でも、背景にある“尊重されている感覚”によって受け取り方は大きく変わることがうかがえます。もし、収入が逆転したら?― 人生単位で考える夫婦のバランスAさん「もし収入が同じくらいになったら、どうしますか?」Cさん「“ここまで待ってくれてありがとう”って伝えると思います。夫にも小説家になりたいという夢があるので、私が稼げるようになったら、今度は彼を応援する番かな。」“今の役割”ではなく、長い人生の中で支え合う視点が印象的なやり取りです。Aさんのケース―「ありがとう」が消えた瞬間から始まった歪みAさん「私も最初は“ありがとう”って言っていたんです。でも、反応がないうちにだんだん言わなくなってしまって……。育児が始まると、夫ファーストから子どもファーストに変わって、 夫は“最初と違う”と感じたみたいです。」夫は子どもが大好きだが、「自分の気持ちが向いたときだけ関わる」タイプ。Aさん「料理中に“パパ見てて”って言っても“やだよ”って返されることもありました。」出産直後の選択が、その後を左右することもAさん「出産直後から寝室を分けていたんです。夫を寝かせてあげたいと思って。」Cさん「出産直後の関わり方って、本当に大事ですよね。夫婦で“チームプレー”になれるかどうか、最初で決まる気がします。」Aさん「本当にそう。私は“夫を寝かせてあげたい”と思って別々に寝たけど、 結果的に“育児は私の担当”になってしまったのかも。」二人で語りながら、「結婚しても“自分のままでいたい”夫」と「家族として変わろうとする妻」のギャップに話が及びます。 「それじゃあ家族としては成り立たないですよね」とCさん。→おっしゃる通りだと思います。世の中の育児に対する認識も大いに影響している気がします。男女雇用機会均等法が施行され、女性の社会進出が活発になった現代においても、家庭や職場での性差による認知の歪みは、未だに色濃く残されているように感じられます。例えば、昨今、「イクメン」という言葉がマスメディア等で発信されています。「イクメン」は、「育児に積極的に取り組むメンズ」をもじった造語に当たります。この言葉は、ステレオタイプが露呈したものに他ならず、育児は本来女性が中心として行うものであるといった思い込みで形づくられています。このような根本的な部分の認識のずれやすれ違いが仕事と家庭の両立がうまくいかない原因であることがうかがわれます。最後に―“お互いを尊重できるようになるためのコツ”とは?Cさん「お互いの人生の目的を尊重して、“応援し合う関係”を続けることが大切だと思います。『ありがとう』の一言がすれ違いを防ぐ。そこからだと思う。」→わたしもそう思います。冒頭でも同じようなことを言いましたが、夫婦間の日常的なコミュニケーションを意識的に増やすことや小さな気遣い、感謝を忘れないことが、尊重しあえる関係の維持するうえで、重要になってくると思います。Aさん「確かに。感謝がなくなった時から、少しずつ歪みが広がっていった気がします。」まとめ|自分を責めすぎないでいい「女性がなぜ“やらなきゃいけない”のか」という問いから始まったこの対談。二人のやり取りは、現代の共働き世代が直面するリアルな課題そのものです。しかしそのバランスに悩むのは、あなたが真剣に向き合っている証拠です。 “夫婦はチームである”という原点に立ち返り、この対談と弁護士の視点が、「自分だけじゃない」と感じるきっかけになれば幸いです。※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談ではありません。●弁護士コメント:弁護士 中根康太